2015.2.22
複数商品を分解したり、バリエーション商品を一つにまとめたり。ロット集約、ロット分散といわれる技法を解説していきます。この方法を使うことで転換率の高い商品を育てたり、レビューを集約しPVを集中化させたりといった戦略的な店舗運営が可能になります。知識として、言葉としては聞いたことがあってもどうやればいいかわからない、どういう場合に集約させたり分散させると効果的かわからない、という場合にヒントになるはずです。
ロット集約とは、サイズ・カラーバリエーションが有る商品を「1つの商品ページ」として販売する方法です。実にシンプルで分かりやすいですね。以下の図を御覧ください。
例えばサンダルシューズを取り扱うとしましょう。同じ形状の商品で、カラーバリエーションや靴のサイズが選択できる。というごく一般的にある商品ページですね。ロット集約としては一般的すぎて何が言いたいの。と思われるでしょうか。ロットを集約するということは赤色が欲しい人も、緑色が欲しい人も、サイズ26.5cmを探している人もすべての人がこのページに集まり、このページから商品を購入するわけなので、レビューやPVが当然集まります。
しかし、緑色に興味が無い人が見に来て買いやすいでしょうか。自分に興味のない色や、自分のサイズが一発で分からない。となるとこの商品ページはある種不完全なものと言えないでしょうか。商品を見に来るすべてのお客様に対して、「考えられうるすべての提案を出しておく」という商品の出品の仕方がロット集約です。
ではロット分散とは何でしょう。感のよい方は既にお分かりかも知れませんが、商品をバラバラにして売る販売方法が「ロット分散」です。ロット集約の逆、と捉えてもいいかもしれません。以下の図を御覧ください。
この商品ページからはサイズは選択できますが、緑色のサンダルしか選択できないようになっています。この商品で緑色がほしい人にとってはカラー選択などの無駄な選択肢がない分「買おうと思っている人に一発で決めさせる」ことが出来るでしょう。逆にカラーバリエーションが選択できないので赤色が欲しいと思っていた人は何のアクションも起こさずに他のページに移動してしまう可能性が高くなります。
例えばスマートフォンのケースがあったとしましょう。スマートフォンはiPhoneやXperia、ARROWSやAQUOS PHONEなど様々な機種がありそれぞれに様々なモデル番号が付いていますよね。1機種1商品で売ると、せっかく売れてもレビューがバラバラに分散してしまいますよね。そこでロット集約という方法を取り入れるわけです。
この商品ページからはiPhoneのクリアケースもXperia Z3 SO-01Gのクリアケースも、AQUOS PHONE SH-01Gのケースもすべてバリエーションで選択できるようにしておくわけです。このページを訴求すれば、包括するどの商品を購入されてもこの商品IDにレビューやPVがすべて集約されるので機種バラバラで売るよりもメリットが大きいということになります。
広告を打つ場合もロット集約している商品であれば1つの商品で全バリエーションが宣伝できるわけですから効果も高いですね。とはいえ、自分のスマートフォンがiPhone5sでそのケースがほしいのに他の機種の情報は普通は邪魔以外の何物でもありませんから、訪問されるお客様にとっては「不必要なバリエーション選択が存在している」ことになります。
前述のとおり、不要なバリエーションはお客様には必要ない情報ですからロット集約商品は時に転換率を下げる原因にもなります。そういう時には転換率を上げるためのロット分散を行うと効果的でしょう。以下の図を御覧ください。
ロット集約した商品の中から、一つを分散商品として生成します。この時ロット集約商品の中から分散させた商品を消さないようにしておくことも重要です。こういったロット分散を「転換型ロット分散」と呼ぶことにしましょう。分散した商品は単一商品単一バリエーションであることが効果が最も高くなると言われています。
前半でお話した靴の場合では、サイズで分散するという方法も有効です。極端に小さいサイズを分けてしまうのも良いでしょう。靴の場合、小さいサイズ22cmや23.5cmといったバリエーションは「すべてのお客様にすべての提案を出しておく」ロット集約商品では、ニーズの最も多いであろうサイズのお客さまにとっては不要な情報といえるでしょう。同様に小さいサイズを求めている人にとっては「一般的なサイズ」の情報は不要な情報なのです。
今ご飯を食べに行こうとしているとしましょう。どうしても今日はラーメンが食べたい。そういう時どこに食べに行きますか。ラーメンが食べたいのにイタリアンレストランに行くでしょうか、行きませんよね。ラーメンが食べたいならラーメン屋に行くか、王将などの中華料理屋を真っ先に思い浮かべるのではないでしょうか。
商品に関しても同じことが言えます。自分が「この商品を買いたいなぁ」と思った時、その瞬間が「物が売れる前段階」になっているわけです。この段階に入ったお客様に不要な情報を提供する意味が果たしてあるでしょうか。既にラーメンが食べたいと思っている人に「寿司ありますよ」というでしょうか。クロージングの段階に入っているわけですから「味噌ラーメンにしますか、塩ラーメンがいいですか」という提案の方がずっと効果的でしょう。
自店舗の商品ページを見なおしてみましょう。「買いたい」と思っているお客様が「これに決めた」と言えるページになっていますか。
どこかに遊びに行きたいなぁ、天気もいいからどこがいいだろうか。という時に「遊園地にしますか、水族館にしますか、動物園もいいですね」と提案するのがロット集約商品です。まだ確定的に「これだ」と決める前段階の欲求に対する提案が出来る商品ですが、もしかしたらじゃぁ遊園地にするか。とアクションに結びつくかもしれません。もしかすると「いや、今日は釣りに行こう!」となるかもしれませんよね。そのためにロット集約商品は「多くの選択肢」を包括しておく必要があるわけです。
とはいえ情報過多では意味がありません。遊びに行きたいなぁ、と思っているのに「家でゴロゴロしましょう」という選択肢を出しますか。ニーズに基づいたバリエーションを包括する、ロット集約商品に最も求められることでしょう。
ラーメンの例えを出しましたが、ロット分散商品はクロージング用商品です。ここで決めてもらうわけです。ラーメンが食べたいというニーズに対して「じゃぁ味噌ラーメンにします」と言わせる商品なのです。そのため選択バリエーションは少ないにこしたことはありません。ピンポイントでニーズを撃ちぬくスナイパー。ロット分散商品はその性格上どうしてもPVは少なくなりがちです。そのためロット分散をした商品の「関連商品」を訴求することが重要になってきます。
関連商品とは、味噌ラーメンであり、塩ラーメンであり、とんこつラーメンなのです。商品ページにバリエーションを設けない分、こういうのもありますよ、という提案をしておくわけですね。この場合、各ロット分散商品ページはその商品の詳しい情報が全て網羅されている必要があります。
このページでお客様の行動を完結させる。それがロット分散商品の役割なのです。
ロット集約と分散の技法について学べましたでしょうか。この技法を使えば1つの商品でも様々なバリエーション展開で商品数を増やすことも出来ますし、逆にロット集約を徹底すれば出品商品数上限を削減することもできますね。ロット集約・分散は実はまだまだ奥が深い内容になっていますので、次回はモールごとのロット集約のメリット・デメリット、ロット分散のメリット・デメリットなどについても言及していきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。